20世紀のソ連、ハンガリーの教本・楽譜をもらった

2017年2月18日

20世紀のソ連、ハンガリーの教本楽譜
昨夜は久しぶりのレッスンだった。レッスンの内容は別途書くとして、先日、レッスンのアポイントを取るついでに、「うちの高校生の息子が『ピアノをやりたい』って言い出しまして」と報告したところ、「ちょうど山ほどある楽譜を処分しようと思ってたので、次回、レッスンのとき、欲しいもの持って帰ったら?」と師匠。で、昨夜、レッスン終わった後、山ほどある楽譜を見せていただいた。

廊下に、みかん箱で3つ分ほどの楽譜が無造作に置かれていて、「みんな、ピティナに寄贈しようと思っているから、好きなだけ持って帰ってね」と。手に取ってみると、多くが前世紀、30年~40年前に出版された子供向け教則本だ。さすが師匠、あと数年でピアノ指導者生活50周年を迎えられるだけある。これらは、第二次大戦後のピアノ教育の“史料”として価値があるのでは? いずれも、ちょちょっと師匠による書き込みがされている。だけど、今となっては何の書き込みかは判別できない。

中でも「おっ!」と思ったのが、ソ連児童音楽学校「二年生のピアノ教室」(レッスンの友社・1982年発行)と、ハンガリーのコダーイ・ゾルタン「ピアノの学校」の併用曲集(音楽之友社・1977年発行)の二冊。

今や、ケータイで「それん」と入力しても「ソ連」という国名は出てこない。平成生まれの子供たちにとって、ソ連は隋・唐やムガール帝国のように歴史の教科書にしか出てこない国なのだろう。一方、ロシア、東欧に住む中年以上の人々にとって、ソ連という国家は苦い思い出を持つ人が多いはず。だが、20世紀のクラシックピアノの黄金時代を築いたのは、ソ連の音楽教育であることは紛れもない事実である。

このピアノ曲集は、ドミトリ・カバレフスキー、アレクサンドル・グレチャニノフ、アレクサンドル・ゲディケら、ロシア近・現代の作曲家のみによる珠玉の小品が50曲あまり収められている。昨夜、帰宅してから、いくつか初見で弾いてみた。感想は何というか、異国のおもちゃ箱をひっくり返したような、素敵な小品ばかり。そして、ソ連の児童音楽学校が、導入期からポリフォニックを重視していたことがうかがわれた。

もう一冊は、コダーイ「ピアノの学校」併用曲集「ピアノのひろばb」(サーヴァイ=ヴェスペレーミ編)。こちらは、前述の曲集と違い、コレルリ、パーセル等、バロック前期の作曲家の作品に始まり、古典派、ロマン派、近・現代までの小品がバランスよく収められている。

特徴は、近・現代がバルトークのほか、ソコライ・シャーンドル、カーロイ・パール、パプ・ラヨシュら、現代ハンガリーの作曲家による作品でまとめられていること。ポリリズムの“歌”や多調のインベンションっぽい曲等、ユニークな小品多数。ヨーロッパのクラシック音楽のメインストリームの延長線上に、ハンガリーの現代音楽を位置づけようという意図が感じられる。

また、この楽譜、チェブラーシカに近いテイストのカラーイラストが何より可愛い。「レトロかわいい」といえばいいのだろうか。

その他、トンプソンの現代ピアノ教本を2冊、バロックの小品集1冊をいただいて、帰路についた。息子よりも、すっかり私が楽しんでしまっている。ありがとうございました。


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