音大生をめぐる誤解を解く
PTNAコンペティションのグランミューズ「A1」「A2」部門は、誰でも参加できるコンクールです。一方「B1」「B2」部門は、音楽大学、専門学校等のピアノ専攻で学習していないこと、ピアノを職業(指導・演奏により報酬を得る)としていないことが条件となっています。
ですので、「A1」「A2」部門は音楽大学のピアノ科を卒業した人たちも参加します。
で、とあるブログや掲示板上で、「A1」「A2」の参加者の演奏が音大卒とは思えないという文章を目にしました。
一般大学(という表現もどうかと思いますが)の学生数に比較して、音大生の数は圧倒的に少ないです。ですので、身近に音大生がいないと、卒業生全員が一流ピアニストのような演奏をするように考えてしまいがち。
そもそも、クラシック音楽に興味のない人は、演奏水準の違いはあまり気にしないので、極論いうと、ショパンやラフマニノフの練習曲を弾きさえすれば、「さすがは音大生!」というのが、一般的な評価ではないでしょうか。
しかし、ちょっと音楽を聴き込むと、アマチュアピアニストの演奏でも惹き込まれるものもあれば、音大出身者でも「?」の演奏があることがわかります。
ここで、「音大出身なのに!」と考えるのは、ちょっと待ってください。冷静に考えれば理解できます。
経営学を専攻した学生が、卒業後、バリバリと会社経営ができるわけではありませんし、情報学部を卒業した学生が即戦力あるシステムエンジニアであるわけがありません。
私なんて、文学部で日本史専攻ですが、IT部門の管理職を務めていますから。
演奏の質、仕事の質共に、必ずしも卒業証書の学校名と相関関係があるとはいえないものですね。
ディスカッション
コメント一覧
うーん・・・。でもピアノ科の学生は,大学に入るだいぶ前からピアノを弾いていたはずですね。その意味で大学で最初から勉強し始める場合と異なります。
しかもピアノを人前で弾くという行為は学生時代もコンクールでも同じであることを考えると,たとえるなら学生時代から会社を経営しているのと同じといえるのではないでしょうか。
その意味では大学で経営学を専攻することと,会社を経営すること,のように落差があるように思えないのです。
音大卒業後,別の職に就き,コンペで大学時代にやっていたピアノを弾いたというなら鍵盤うさぎさんのおっしゃるとおりだと思います。でも,音大卒業もピアノと関わってきたのに大学時代より演奏の質が落ちているというのなら疑問。
いやいや、ちょっと待って。音大を卒業して、一般の会社に就職したのであれば「文学部卒業してIT企業に就職」と同列に論じていいと思います。
でも話は違いますよ。
上記の件ですが、彼ら彼女たちは、音大を卒業し、まがいなりにも演奏活動をしていたりピアノ指導者をしていて、ネットで名前を検索すると「○○音大卒」とか、学校の卒業が主席であったとか、コンクールの受賞歴とか、ようするに音楽の仕事をするうえでの自分のステータスをネットの上に公開しているわけですよ。
その責任の重さを考えたら・・・・ちょっとまずいのではないかと思います。
私はやはり、プロ意識の欠如、この厳しい日本でクラシック音楽を生業としていくのだという覚悟が足りないことが原因になってるように思えてなりません。(敢えて、苦言を呈します)
皆さま、ツッコミありがとうございます。このネタ、いろいろ意見がありそうなので、もう少し展開したいと思います。ただ今、朝の通勤電車内にて。今晩にでも。
音楽にもともと内在する佇まいに反する演奏というのは最悪ですね。
そういう演奏がなんと多いことか…。
あと、日本人は、知らず知らず、日本語的に(強弱アクセントをもたず平坦な言語→拍節感がない、音符が等価で平坦、など)音楽を感じて演奏してしまう傾向があるようです。私の師 紙谷一衛先生が、「日本人の陥りやすいナンセンスな演奏」を、その原因を含めて研究し、著書『人を魅了する演奏』で警鐘を鳴らしておられますが、無意識的にそういうふうに感じてしまうわけですから、私たちは、日本語話者であるというハンデを意識して、異文化のクラシック音楽に自覚的に取り組まないと、所詮「カタコトの演奏」に陥ってしまうと思います。
グランミューズに出て来られる音大卒の方は、まだ良いと思います。コンクールで厳しい評価を受ければ、それなりに考えられて演奏・指導活動にもフィードバックされるでしょう。もっと楽な生き方もあるのに、敢えて批判を浴びる覚悟でアマチュアとも同じ土俵に出てこられる勇気に敬意を表したいと思います。
本当に問題なのは、コンクールなり何なり公開の場に出てこられない方々なのではないかという気がします。
はじめまして。私はうさぎさんの仰りたいこと良くわかります。私は地元短大の音楽科を卒業しました。音楽の仕事は一切したことがありません。でも音楽科卒業と言うと、クラシックに興味のない方からは、まるで芸大でも出たかのように「音大出てるなんてすごい」とか言われてイヤになります。音大だってピンからキリまで、その中に主席から最下位までいます。なのに世間一般では音大卒業生はみんなピアノが上手いみたいに思われてるんですよね・・・。音大に行ったところで全員がいいレッスンが受けられるものではありません。音大で教えていない先生のほうがいいレッスンをしていることもあります。私は27年ぶりにピアノを再開しましたが、弾き方からなにからすべてやり直し中です。気弱なもので(笑)非公開にさせていただきました。どうも失礼しました。
どもども、たくさんのコメントありがとうございます。この件、続編を書いてみたいと思います。三時のティーブレイク、そろそろ仕事に戻りますので、この辺りで。
家に帰って、コメントを書き込もうと思ったのですが、ちょっと「金麦妻ショック」から立ち直れないので、今日はそっとしておいてください。明日には元気になれると思います。
同じ音大内でも、入試の課題曲を一ヶ月で仕上げて楽々受かる人もいれば
課題曲を一年単位で練習してなんとか引っ掛かって受かる人もいますから
ピンからキリまでいるのが音大ですよ
学内試験1位とビリの差は凄まじいものがあります
PTNAは後者が目だってますが
やはり
有名音大の上位の方の人にアマチュアが勝てるとは思えません
音大でも下をみたら、なんで入れたの?位、下手な人はゴロゴロいるので
下をみてこき下ろすのではなく
上をみたらよいかと思います
お久し振りです。
なかなか興味深い内容と皆様のコメントに 私も一言書きたくなりました!
30年以上前の音大生として。
現代はかなり違うと思うのですが、昔は 「親に強制されて」音大ピアノ科に入った人が 何人もいて、「もう音大に入ったから いいでしょ。練習はしないわよ・・」「ピアノは、本当は 大嫌いなの」ということもありました。
かく言う私も 実は そうでした、今は ピアノが大好きになりましたが。
なので、受験が終わった 大学1年生のときが 一番上手?で 後はどんどん下手になって行ったり。
勉強も練習も 継続が大事ですね。
こんにちは。異論、反論、大歓迎です。どしどし書き込んでください。
こんにちは。
結局身銭を切ってやりはじめてからが「本物」だと思います。
大学生のうちはその人の真価はわからないかもしれないですね。