恋とエッチとスクリャービン
「恋とエロスとスクリャービン」ってタイトルにしようかと思ったけど、あえて「エッチ」って言葉にしよう。
さて、スクリャービンの交響曲第4番は「法悦の詩」というタイトルが付いてます。高校生の頃、「法悦」という意味がわからず(辞書で調べればいいものを)、よくわからないまま「比叡山延暦寺の修行僧が記すストイックな詩」ってなイメージを勝手に抱いていました。で、大人になってから、英語のタイトルを見てびっくり。
The Poem of Ecstasy.
エクスタシーの詩なのか!
誰だよ、「法悦の詩」なんてつまらない邦訳にしたのは。The Poem of Ecstasyってタイトルを知ってから聴くと、この曲、まったく違った印象になります。
そういや、ワーグナーの楽劇『トリスタンとイゾルテ』。作曲家自身が前奏曲について、こんな解説をしています。
「もっとも強い衝動、もっとも激しい努力へと、それが満たされることのない欲求を高めていった。それは、途方もなく熱望する心に無限の愛の歓喜の海へ到達する道を開き、突破口を見いだそうとする欲求である」。
こちらも、ワーグナーに目覚めた高校生の頃、私は帆船に乗り、広大な「無限の愛の歓喜の海」に向かって、悲しみの船出をするようなイメージを持っていました。
私が言いたいのは、
「童貞の想像力は、時として正反対の方角を指してしまう」
ということです。
なんていうと下世話に思われますが、チベット仏教においては、崇高な性愛の情熱と歓喜が、そのまま悟りの境地として歓喜仏、男女交仏等、芸術として表現されています。性の神秘性は、芸術家の想像力を刺激してきました。
また、演奏会で、時として鳥肌が立ちそうな響き=快感に出合うことがあります。日常生活で気がつかない、封印されている「アブナイ秘孔」を刺激するピアニストって、たまにいるんですよねー。
で、なぜ、こんなことを長々と書いたかというと、ラサール石井氏の下のツイートがネット上で炎上したから(今は削除されています)。
真央ちゃんの個人名を上げるのはどうかと思うけど、これはヨナちゃんの艶やかな演技に比較して、以前から言われていたこと。
例えば、スクリャービンの幻想曲。スクリャービンって、奥深いエッチな響きが魅力だと思っています(あえて「エロス」という言葉を使わず)。で、この曲、10代の音大生の演奏を何度か耳にしたことがあるんだけど、みんなエロくないんだな‥‥。
あえて、爆弾発言! スクリャービンのソナタ、第5番以降は、童貞やバージンは弾かない方がいいと思う。バレます。
下、台湾のピアニスト、胡瀞云(フ・チンユン)さんのスクリャービンの練習曲 Op.42-5。うーん、ゾクゾクするなー。素晴らしい!