松尾スズキ演出、芝居『欲望という名の電車』
昨年秋から、やたらと芝居に足を運ぶようになった。ピアノと演劇は、いずれも舞台芸術。ステージという限定された空間、時間を生かすという点で、芝居はとても参考になる。
金曜夜、渋谷・パルコ劇場へ、松尾スズキ演出の『欲望という名の電車』を観に一人で出かけた。出演は、秋山菜津子、池内博之、鈴木砂羽ほか。『欲望という名の電車』は、テネシー・ウィリアムズによる戯曲で、1947年に初演。1951年に映画化、1998年にはアンドレ・プレヴィンの作曲でオペラとして上演された。いわゆるスタンダードだ‥‥といっても、私、観るのは初めて。
以下、ストーリー(Wikipediaより)。
舞台はニューオーリンズ。粗野な工場労働者の妻を妹に持つブランチ・デュボアが、居候して巻き起こる事件を描いている。
主人公は南部の没落農園出身の女性ブランチ。名家の栄光を捨てきれず社会に適応できない彼女は堕落し、やがて故郷を追われて妹のステラの下に身を寄せる。しかし、ステラの夫スタンリー・コワルスキーは退役軍人で粗野な工場労働者だった。ブランチは暴言・罵倒、挙句に隠していた過去を晒され、陵辱される。ブランチは精神的の均衡を失い、施設に入れられる。
秋山菜津子さん演じるブランチが、白昼夢に生きる手に負えないおばさんぶりをいかんなく発揮。とにかく存在がイタい元お嬢様という役どころなのだけど、程度の差はあれ、みんな現実逃避の想像を心の中で膨らませたりするのじゃないかな。結末は、心にぽっかり穴が空いてしまった。
ところで、休憩時間。コーヒーでも飲もうかとロビーに向かうと、仕事でお付き合いのあるキレイめ女性とばったり。お互い、びっくりした。
キレイ女性 「うさぎさん、お芝居、観られるのですね?」
鍵盤うさぎ 「いえいえ、最近、ハマリ始めたばかりなんです」
キレイ女性 「実は、私も最近」
鍵盤うさぎ 「お一人ですか?」
キレイ女性 「はい、一人なんです」
鍵盤うさぎ 「お互い、金曜夜に一人でお芝居って、大人のぜいたくですよね?」
三時間の長い観劇の後、当然、お食事でもという流れになり、いろいろお話をすると、ほかにも同じお芝居を観ていることが判明。私と同じく、しばしば一人で芝居を観に出かけているらしい。
最近、「大人の一人芝居」が流行なんだろうか?