デーモンの召喚! 大崎結真さんリサイタルの感想
昨日、うちの門下出身のトップピアニスト、大崎結真さんのリサイタルがありました。ショパンコンクールは残念な結果でしたが、帰国直後のステージにも関わらず、ダイナミックな演奏でみんなをびっくりさせてくれました。
場所は、飯田橋のトッパンホール。開演は夕方五時。曲目はオールショパンプログラムで下の通り。
アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22
3つのマズルカ Op.59
バラード第1番 Op.23
(休憩)
24のプレリュード Op.28
中でも、バラード第1番が素晴らしかった、というより、すさまじかった。この曲、ショパンイヤーの今年、もっとも演奏された曲の一つではないでしょうか。アマチュアコンクールでも、演奏する人が多い人気ナンバー。でも、今日のバラードはこれまで聴いた誰の演奏とも違っていました。
実は、大崎さん、ショパンコンクールの一次予選のしょっぱなでこの曲を演奏しています。オンデマンドで見られるコンクールでの抑制された演奏とは違い、エンジンの回転数最大で、火花を散らしてコーナーを曲がるような、暴走寸前のぶっちぎり感がありました。
ラストの方では重々しい「鬼気」がホールを包み、演奏が終わった後、みんな息を飲んでいた。うーむ、感想をひと言でいうと「デーモンの召喚」。
トップピアニストは、ホールの空気を変えるんだな、と改めて思いました。これぞ、ライブの魅力だな。
今年はどこの演奏会もショパン、ショパンで、そろそろ食傷気味だったけど、最後に熱いバラードを脳裏に刻印された夜でした。
もう少し、日本で演奏活動をしてくれるといいんだけどな‥‥。
リサイタルが終わってホールを後にしたら、前に師匠のお姿が。お声がけしたところ、「先ほど、楽屋で大崎さんに会ったんだけど、うさぎさんに預かり物があるわよ」と。なんと!五月に紀尾井ホールでご一緒したときに撮影してもらった、私、師匠、大崎さんの3ショット写真だった。お忙しいリサイタル当日に、うれしいやら、申し訳ないやら‥‥。