下りエスカレーターを上ること
「人生は基本的に下りエスカレーター」
だから勉強しなきゃ、ズルズルと下降してしまう、というもの。
あは、これ、共感。
ニッポン経済は、ここから先、基本的に下りエスカレーター。中年サラリーマンは、下りエスカレーターをえっちらおっちら上っているようなものだ。立ち止まるとズンズン下降していくし、同じ速度で歩いてもポジションは変わらない。下りのスピード以上に速足で上らないと、会社で生き残ってはいけない。
しかも、この下りエスカレーターのスピードが10年前に比べて格段に早くなっているからやっかいだ。10年前より体力は落ちているのに、より速足で上っていかなければならない。
ふぅーっ。
もちろん、そんなニッポンだからこそ、これからはスローライフを!なんて言う友人もいる。正しいよ。豊かさの尺度は人それぞれだから。
だけど、資産のない一般サラリーマンが、スローライフでピアノを上達するのなんて、かなり難しいと思う。都心に親譲りの土地があって、不動産収入でもあれば別だけど。東京って街は、私のような地方出身者にとって、いざ働き暮らすというスタート地点で大きなハンディがあるのだ。
グランドピアノで練習しないかぎり、ある程度のグレードには上がれない。でも、都内で防音完備の一軒家なんて購入するのは無理(なことはないけど、巨大な住宅ローンを抱えて銀行に搾取されるのはバカバカしいし、何よりリスクが大きい)。結局、レンタルスタジオをこまめに借りるしかない。
それに、上達するには、いいレッスンを受けたいし、一定の間隔でPTNAステップやらコンクールやら、人前で弾き、レビューしてもらう機会も用意したい。本当は、ソルフェージュだって習いたい。
私一人で生きていくなら、プライベートの時間を思う存分ピアノに費やせるけど、子供の進学やら親の介護を想定しつつ、ピアノを上達しようとすると、結局、今以上におカネを稼ぐしかないのだ。
というわけで、今日も下りエスカレーターを駆け上がるべく、仕事に向かう通勤電車内であります。