紀尾井ホールデビュー報告(前編)
昨日、紀尾井ホールで行われた『金子勝子 門下生&門下出身生による45周年記念コンサート“音の調べ”』、当日の朝から時間を追ってご報告します。その前に「紀尾井デビューへの道のり編」をお読みいだくことをお勧めします。
前日は、ブログにも書きましたが、本業の夏のボーナス査定会議があり、家に帰ったのが深夜0時ごろでした。それから、お風呂に入ったり、シャツにアイロンをかけたり、荷造りをしたりで、眠りについたのは深夜2時。
師匠から「朝9時にホールが開くので、控え室のアップライトピアノなら練習できるから早めにいらっしゃい」とお声がけいただいたので、朝7時に起床。8時45分に紀尾井ホール到着。ただ、さすがに裏口に警備のおじさんしかいませんでした。10分ほど玄関前でプラプラ待ってから、ホールに入りました。もちろん、私が一番乗り。
男性控え室に荷物を置いて、アップライトピアノのある控え室を探し、指のメトードから練習開始。30分弱練習して、指をアイドリング状態に持っていけたのはホント助かりました。準備練習を終えると、ホールでは角野隼斗君がリハーサルを開始。いきなり、ショパンの練習曲 Op.10-1を“入った音”で弾き始めてびっくり! オイオイ、準備運動抜きに、どうしてこんな“入った音”が出せるんだよ!デス。
その後、タキシードに着替えようと男性控え室に帰ると、男性出演者が続々登場。全員、12月の発表会で会ったりしているので、すぐに打ち解け、控え室は「男子サークルボックス」みたいな空気になりました。
で、タキシードの上着に袖を通したら、前のボタンがポロリ。なんで本番前にボタンが取れるんだ! と、プチパニックになりました。ホールのマネジャーに窮状を訴えると、引き出しの中から、クッキーの缶に入った裁縫セットを取り出してくれました。
「裁縫道具まで準備しているのですね?」と感心すると、マネジャーいわく、「ボタンが取れるくらいは大したことないですよ。女性のドレスのジッパーが壊れて、直前に修繕することもありますから」と。その他、シャツ、蝶ネクタイ、靴まで完備。ありとあらゆる事態をシミュレーションしているらしいです。舞台裏には舞台裏のプロフェッショナルがいるものだ、と感心しました
タキシードのボタンは、お手伝いに来ていただいた門下生のお母様が修繕してくださいました。お母様は、ボタンを修繕する姿が本当にお似合いですね。
9時50分から20分間、ホールでのリハーサルなので、ステージに出ました。いざ、ステージに出ると、天井が高く、格調高いシューボックス型ホールが視界に入ります。これまで、オーケストラや室内楽の演奏会で来たことはあるけど、ステージに立つと、さすがに「おーっ!」と感激です。
早速、スタインウェイのフルコンサートグランドピアノでリハーサルを開始。ピアノの音が天上に飛んでいくのは、とにかく気持ちいいです。
実は、一週間前、新小岩アーバンプラザでアマコン常連さんの「朝練」がありました。そのときのピアノがベーゼンドルファーのインペリアル。このときは、トッカータがまったく弾けずに暗譜落ちし、困り果てました。
仲のいいアマチュアピアニストが、「ベーゼン・インペリアルって、一見さんお断り、京都の老舗料亭でしょ?」と。これ、言いえて妙ですね。とすると、スタインウェイのフルコンは格式ある五つ星ホテルでしょうか。京都の老舗料亭と違って、ロビーには笑顔で迎え入れてもらえますからね。
何とか弾き通すと、師匠は「最後に、控え室のグランドピアノで楽譜を見て練習しなさい」と。グランドピアノは20分間交代で、出演者がリハーサルするようにしています。自分の持ち時間まで間があったので、いったん控え室に帰ると、角野君のお父さんと「男はつらいよ」いや「父親はつらいよ」談義に盛り上がってしまい、一瞬、今日の演奏会のことを忘れそうになってしまいました。
11時30分から記念撮影。色とりどりのドレスをまとった女性出演者がステージに集合! 華やかです。男性って地味だな、と改めて思いましたよ。毎回、ドレスの色が変わる、とある女性出演者に訊ねたら、「せっかくなので、新しいドレスを買いました!」と。曲に合わせてドレスの色を変えるなんて、女性の特権ですね。
12時から20分間、グランドピアノのある控え室で最後の練習。指示通り、楽譜を見て三度ほど通しました。ホールが開場になって、客席に観客が入り始めると、さすがに心拍数が上がるものですね。
男性控え室に帰って、昼食のとんかつ弁当を開けたけど食欲わかないものです。三分の一くらしか、ノドを通りませんでした。
お弁当を食べていると、開演のベルが鳴って、先頭バッターの子牛先輩の演奏が開始。「おおー、鳴ってる、鳴ってる。さすがは子牛先輩だよ」と、ちょっと感動しました。「しかし、一曲目が現代曲なので、お客さんもびっくりしているだろうな」なんて思っていると、お手伝いいただいているお母様が、そろそろ「舞台裏へ」と迎えに来てくれました。
うっ、武者ぶるいしそう‥‥いざ、初陣でござる!