1979年の小林繁が教えてくれたこと
小林繁が逝った。
投手・小林繁が江川卓とのトレード(「空白の一日」事件)により、読売ジャイアンツから阪神タイガースに移籍した1979年当時、私は中学一年生だった。大阪の少年たちは、それまで漠然とジャイアンツが好きではなかったけど、この事件以降、本格的かつ具体的にジャイアンツが嫌いになった。
巨人=江川=悪玉、阪神=小林=ヒーローになった。大阪の少年なら、誰もがあのサイドスローを真似したことがあるはずだ。
移籍した年に22勝、ジャイアンツ相手に8勝無敗。ペナントレースの行方よりも、あの年は、小林繁がジャイアンツに勝つのがメインテーマだった気がする。
小林繁は、プロの「カッコいい意地のはり方」を、大阪の少年たちに教えてくれた。
仕事に夢中になっていても、人事異動やら、リストラやら、派遣切りやら、与信停止やら、理不尽なこと、不本意なことは数限りなくある。自分の努力や想いとは別に、環境は勝手に変化していく。
それを、会社がわかってないとか、政治が悪いとか、プライドが許さないとか言っている男は大嫌いだ。変化する環境に順応して、「結果」として跳ね返していくのが、本当のプライドだと思う。
それが、1979年の小林繁が教えてくれたこと。