三島由紀夫×宮本亜門、芝居『金閣寺』へ再び
2012年2月、宮本亜門演出、森田剛クンの主演で大いに感動した『金閣寺』が再演。前回があまりに素晴らしかったので、思わず観に出かけてしまった。劇場は赤坂ACTシアター。
今回は「溝口」に柳楽優弥、「柏木」に水橋研ニ、「鶴川」に水田航生、「有為子、美しい女、生け花の師匠」に市川由衣という顔ぶれ。「溝口の母親」の大西多摩恵と「副司」の花王おさむ、ホーメイ歌手の山川冬樹は、今公演でも出演。
亜門さんの演出、大枠では変わっていなかったが、本格的にお芝居が始まる前に、すでに舞台上に出演者がたむろしたり(フェードインの効果かな)、最初に朗読を加えたりと、ディテールに変化があった。前回公演よりもより磨きがかかった印象。
一方、俳優は前回「溝口」の森田剛と「鶴川」の高岡蒼甫が圧巻だったので、どうしても印象が薄くなってしまった。前回は観に行く前、ジャニーズ系(V6)の森田クンと、宮崎あおいの元ダンナというイメージが先行。実際に舞台での演技とのギャップに驚き、インパクトが強かったことも影響しているのかな。
もちろん十二分に楽しめるお芝居だった。
あと、前回観た時との違いは、観劇後、三島由紀夫の原作を読み直したこと。それから、仏教、特に禅関連の書籍をここ数年、読むようになったので、ずいぶんと芝居を奥行き深く楽しむことができた。
小説の中でも私が好きなシーンは、南禅寺の山門から溝口と鶴川が美しい女と出征する兵士の別れのシーンを思わず目にするところ。“ミシマ”ならではの耽美的な演出に心を奪われた。また、観に行きたいお芝居だ。