感想/豪華キャスト、芝居『トップ・ガールズ』
昨年秋から、ちょっと演劇にはまっている。ひと月に一度くらい出かけている。クラシック音楽の演奏会より、足を運んでいるかも。芝居を観れば観るほど、ピアノのリサイタルも舞台芸術だと思えるようになった。独奏会と一人芝居は、いろんな共通点を感じるのだ。
昨日は、渋谷シアターコクーンで上演中の『トップ・ガールズ』に足を運んだ。
この芝居、とにかく、キャストが豪華。寺島しのぶ、麻実れい、小泉今日子、渡辺えり、鈴木杏、神野三鈴、池谷のぶえ。主役をはれる女優らが舞台にズラリ。晴れやか、かつお得な気分になれた。
公演チラシには「史上最強の”ガールズトーク”」というキャッチが書かれていた。その言葉通り、開始早々、ヴィクトリア朝時代の女性探検家・イザべラ・バード、日本中世の日記文学に名を残した二条、ブリューゲルの絵画「悪女フリート」に登場する女傑、女性であることを隠し法王になった ヨハンナらが、出会った男たちとの秘め事、女性として成功するまでに至った苦難の道を、しゃべりにしゃべる。ちょっと度肝を抜かれた。
その後、1980年代のロンドンを中心に、主役のマリーン(寺島しのぶ)が、男性たちとの熾烈な競争の末、会社の重要ポストに昇進する一方、田舎に残してきた過去が明らかになる。
1980年代から、女性を取り巻く労働環境と社会意識は、劇的に変化を遂げた。ただ、「女性の社会進出」ととてもひと言で語られるものではなく、その矛盾と苦悩について、最終場面、田舎に住む姉(麻実れい)とのやりとりの中で深く語られる。
豪華キャストの中でも、やっぱり舞台俳優の存在感としては、渡辺えりさんが圧巻だったな。
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