アリス=紗良・オット&オスロフィル公演の感想
10日ほど前、3月12日(水)、東京芸術劇場で、アリス=紗良・オット&ヴァシリー・ペトレンコ指揮オスロフィルハーモニー管弦楽団の演奏会を聴きました。北欧のオーケストラの演奏会を聴くのは実に32年ぶり。前回は、なんと1982年、オッコ・カム指揮ヘルシンキ・フィルハーモニーの大阪公演でした。そして、私が聴いた1982年2月4日、大阪フェスティバル・ホールの演奏を聴くことができてびっくり。そういえば、FM大阪のクラシック番組で後日オンエアされたような気がします。
オッコ・カム&ヘルシンキ・フィルの1982初来日公演ライブ(La sUcala)
さて、オスロフィル公演、プログラムはご当地モノのニールセンの序曲とグリーグのピアノ協奏曲、それからショスタコーヴィチの交響曲というものでした。
ニールセン/歌劇『仮面舞踏会』序曲
グリーグ/ピアノ協奏曲 イ短調 (独奏:アリス=紗良・オット)
(休憩)
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番 ニ短調 Op.47
なんでこの演奏会に行こうかと思ったかというと、一度、アリス=紗良・オットちゃんの演奏をナマで聴いてみたい、というか正しくは「ナマで見てみたい」と思ったからです。なんせ、“美しすぎるピアニスト”で知られる、このビジュアルですので。
公演4日ほど前、いきなり思い立ってチケットをゲットしたので、座席は2階の最後列、ステージに向かって一番左端でした。ピアノを響きを堪能するには今ひとつの場所でした。
おもむろに演奏が始まりましたが、このところ仕事で疲れているのか、いきなりニールセンの序曲から猛烈な眠気が到来。アリスちゃんも華やかなドレスで登場し、グリーグのコンチェルトのあのインパクトある序奏が始まりましたが、二楽章が終わるまで夢うつつでした。ぶっちゃけいうと、さっぱりとした演奏でどうも音楽が私の中に入ってこなかったんです。
「なんだ、こんなものか」とちょっと落胆しましたが、三楽章はまるで違っていました。独特のグルーヴ感あるリズムで、一楽章、二楽章の眠気が吹っ飛びました。ビジュアルとは裏腹に、このピアニストはリズム感が持ち味なのかも。舞台への出入りもちゃっちゃとしていて、アーティスト写真で見る優雅なイメージとはちょっと違っていました。そういえば、ルフトハンザの客室乗務員の女性の身のこなしって、こんなサバサバした感じだったな、と。ちなみに彼女のインタビューを聴くと、ちょっと関西弁入っているのですね。ちょっと好感度が上がった。
アンコールはシューマンの「3つのロマンス」の第2番。うーん、美しい曲なんだけど、あまり印象に残らなかった。彼女の場合、カプースチンとかボルトキエヴィチとか、グルーブ感のある楽曲を聴いてみたいと思いました。
後半は、ショスタコーヴィチの交響曲 第5番。ソロの見せ場満載、大好きなシンフォニーです。パーカッション陣の健闘が光っていた。前半のニールセンと違って、最後までドラマティックな演奏でとりこになりました。
アンコールは、ジャズのスタンダードナンバー「二人でお茶を」! とてもチャーミングな演奏で素敵でした。というわけで、前半と後半の落差が激しい、初春の演奏会でありました。