金子先生のレッスン、エレジーは「オ」で歌うこと
一か月ぶりのレッスン。レッスン前に、スタジオで一時間ばかり指慣らしをしてから、先生のご自宅に向かう。
15分前に到着。しばらく、私の前の女の子のレッスンを見学。中学生くらいだろうか。お母さんも付き添いで来ている。女の子とお母さんは、ひと目で親子とわかるほど、顔立ち、雰囲気共にそっくり。お母さんはソファで座って、娘のレッスンを見ているのだけど、ミスをすると目じりがピクっと動く。きっと心の中で、「コラっ!」と叱っているのだろう。いつもながら、燃え上がる母の愛を感じた。
歳の離れた姉妹のような二人が帰り、私のレッスンに。アールンの入賞者演奏会の報告した後、いつもながら本業の状況についてお話しする。「まぁ、会社がつぶれたら、ピアノどころじゃないので、ピアノは無理せずに」と温かいお言葉をいただく。
最初にショパンの新エチュード第2番 変イ長調。この曲は九割程度の仕上がり。
二点の課題を指摘いただく。一点目は、左手の四拍子のリズムが、右手の六拍子に若干引きずられている、と。左手のラインを常に感じるようにすると、比較的容易に修正できた。もう一点は、最後のカデンツ。右手の重心の移動がスムーズでない点が問題。歩行するようスムーズに重心移動できればいいのだが、なかなかここがうまくできない。ま、この二点を修正すれば、ステップに参加してこの曲は一区切りかな。次回のレッスンには、新エチュード第3番 変ニ長調を持っていく。今年は、「三つの新エチュード」3曲をきっちり完成させて、おしまいになりそう。
ラフマニノフのエレジー。前回は悲惨な内容だったが、とりあえず全曲通せるようになった。トンネル工事というところの「貫通」。
課題は山積だが、まずメロディーを「オ」で歌うようにと、先生。「オ」ですか。確かに「オ」でボカリーズのように浪々と歌うと、のびやかな雰囲気になる。左手の伴奏だけ弾いて、まずはメロディーを「オ」だけで歌うようにするのが有効かも。中間部は、右手のピアニシモの力の抜き方が課題。なでるように脱力できれば、キラキラとした音になるのだろうけど。一方、中間部後半のファオルテシモの箇所は、腕全体の重さがかかるようにする必要あり。ま、腕と指をダイナミックかつ繊細にコントロールできないと、ラフマニノフらしさが出ないということだろう。こちらは、あと数ヶ月はかかりそう。秋にはちゃんと弾けるようになるかな。最近、一曲仕上げるのを、一年スパンで考えるようになってきた(苦笑)
最後に、バッハのトッカータ。こちらはまだ出来上がっていない。「バッハ得意なのに苦戦しているわね」と先生。なんせ練習時間不足がたたっている。
上の二声だけでインベンションのようにして弾いてみた。が、タッチがぜんぜんだめ。指がラフマニノフとショパンのレガートモードになっているので、チェンバロ系のノンレガートなタッチができない。タッチのために、数パターンのアレンジを交えて指導を受けた。
この夏は、エレジーとトッカータのブラッシュアップで終わりそう。
金子勝子ピアノブログ ステップbyステップ
著者/金子勝子
発行/ショパン社
自分の先生に、なかなか訊くことができない素朴な疑問や悩みに、師匠・金子勝子先生がズバリ本音で答えています。例えば、「二人の先生につきたいが、今ならっている先生に言い出せないのですが‥‥」「自分の先生のリサイタルのとき、楽屋に行ってもいいものでしょうか‥‥」「音大に社会人入学で自信が持てない‥‥」。ぜひ!
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