ワルシャワの素敵なジャズシーン
10年前、仕事でポーランドに行きました。
ワルシャワは9月初旬なのに、とても寒くて、着くなりデパートに駆け込み、内側が毛糸で覆われた帽子とマフラーを買いました。本来、9月は過ごしやすい季節らしいのですが、私にとっては冬の旅でした。まだ、若かったので空き時間、ぷらぷらと街中を歩き回りました。旧市街からワジェンキ公園まで、5kmほどの道のりを、凍えそうな空気の中、平気で歩いたりしました。
当時は、私がピアノからもっとも遠ざかっていた時代でしたが、それでも10代の頃はショパンは大好きだったので、郊外のジェラゾワ・ヴォラにある生家を訪ねたりしました。正直、田舎の小さな博物館という印象で、あまり大きな感慨はなかったです。ワジェンキ公園のショパン像の前でも記念撮影しましたが、「なんせ寒かった!」という思い出の方が大きいです。あと、自分へのお土産に、街中のヤマハでパデレフスキ版のプレリュードの楽譜を買って帰りました。
寒いワルシャワで一番の思い出は、旧市街近くにあったジャズのライブハウスでした。通りを歩いていると、素敵なピアノの音が聴こえたので、思わずドアを開けたのですね。夜のワルシャワって、西ヨーロッパの都会と違い、東洋人、有色人種ってまったくいなかったです。お店に入って、コートを預け、一人で席に着くと、「なんだ、こいつは?」みたいな視線で周囲から見られました。ちょっと居心地悪かったです。確か、寒いからジントニックか何かオーダーしました。
でも、音楽は素晴らしかった。ショパンをテーマにした曲の演奏もありました。ワジェンキ公園で、観光客向けに演奏しているショパンの演奏より、100倍くらい感動しました。衝撃でした。「ショパンが生きている!」って思いましたよ。
地元の友人の話では、ポーランドのジャズはヨーロッパで非常に高い水準にあること。ジャズ・ジャンボリー・フェスティバルは、ショパンコンクールと同じくらい人気であること。マズルカ、ポルカ等、民族音楽を積極的に取り上げること‥‥などを知り、とても興味を持ちました。
冬の寒い夜は、ワルシャワの素敵なジャズを思い出します。
下は、本場、アンジェイ・ヤゴジンスキトリオのショパンです。
ショパン/ノクターン第3番 op.9-3
ショパン/24のプレリュードよりホ短調
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