金子勝子ピアノ教室発表会のご報告<後編>

2016年2月13日

発表会レポート、後編です(前編はこちら

いざ、ステージに立ち、おじぎをして、まずはイスの調節。イスは低めの方が好きなんです。でも、あれ、安全バーがないよ‥‥。通常、一人用ピアノ椅子って、金属の安全バーをスライドさせてから、ストッパーを挟んで上下するんだけど‥‥。カチャカチャしているうちに、「あ、これ安全バーない椅子なんだ」ってことを発見。最初に調べておくんだった。

一度、深呼吸をしてから、いよいよノクターン Op.9-1 変ロ短調の演奏開始。

ピアノはカワイのSK-EX。私、スタインウェイよりも、カワイのSHIGERU KAWAIシリーズの方が、タッチが硬質で好きです。肉の焼き加減でいうと、スタインウェイのタッチはレア、SHIGERU KAWAIのタッチはミディアム。これは好みの問題ですね。

すごく気持ちよく最初の数小節を演奏。ここのホールの雰囲気もいい感じ。ところが、八小節目でいきなりミスタッチをして乱れてしまった。
なんで? こんなとこでミスったこと、今まで一度もないよ。

いかんいかん、ミスしちまったんだから仕方がない、取りあえず前へ前へ。気を取り直し、歌いながら演奏を続ける。そこから後は、最後まで快調に気持ちよく弾き通しました。二曲めの新エチュード第1番 ヘ短調も、ほぼ自分の思い通りに弾けたかな。

客席に帰ると、チャーリーズエンジェル三人組から厳しい愛の叱咤が。

「アンタ、メンタルな面がまだまだね、安藤美姫と同じね!」
「逆に緊張感なさすぎなんじゃない!」
「やっぱ、そのカジュアルなシャツとジーンズがよくないわ!」
「そんな格好で出るから、ピアノの神様に見放されたんだよ!」

ピアノの神様っすか‥‥‥‥‥。

「終わった演奏について後悔しない」という気持ちの切り替えはできるのだけど、先生には申し訳ない気持ちでいっぱい。あれほど、長時間ご指導いただいたのに‥‥。

「なぜミスをしたか」については、その後、帰りの電車の中まで自分なりに考えてみた。40年近く生きて、仕事でいろんな失敗を繰り返すと、ロジカルな問題解決能力だけは磨かれます、ハイ。

まず、仮説。

「ミスをしない演奏を目指す」のではなく、「ヒトが演奏する以上、必ずミスは起きる」という前提を立ててみる。仕事でも同じ。ヒトが仕事をやる以上、必ずアクシデントは起きる。「完全にミスのない演奏」を目指すなら、打ち込み音楽にするのが早道。

その上で、「演奏でミスをする可能性」をヘッジしていくには、内的要因と外的要因に分けて考えてみる。

内的要因/練習不足。技術不足。プレッシャー。
外的要因/馴れないピアノ。会場の雰囲気。時間的な圧迫。
練習不足‥‥‥他人に聴いていただき、恥ずかしくないレベルまで練習したはず。
技術不足‥‥‥自分の技術力にマッチしていない高レベルの曲ではない。
馴れないピアノ‥‥‥初めてのピアノではあったが、苦手なタッチではなかった。
会場の雰囲気‥‥‥観客も少なく、さほど緊張はしなかった。
時間的な圧迫‥‥‥演奏まで十分な練習時間、待ち時間があった。

うーむ、あえてネガティブ要因を挙げると、「初めてのピアノ」「さほど緊張はしなかった」という点だろうか。「さほど緊張はしなかった」は「緊張を自覚していなかった」「少しは緊張をした」と捉えることもできるし。

この曲を演奏するための練習量と技量については十分だったはず。では、演奏環境の差異による影響がミスを誘発する、と考えてみる。「演奏環境の差異による影響」というリスクをヘッジするには、いろんなシミュレーションをこなし、“環境を相対化”させることが解決策かな。
結論です。

このノクターンを演奏するために、練習量は十分だったが、シミュレーション量が足りなかった。

よい演奏をするためには、十分な練習量と共に、十分なシミュレーション量が必要なんだ。これ、今日の第二の反省点です。

さて、「今日発生した問題はできるかぎりその日のうちに解決」というのが私の仕事の流儀。帰りの電車の中で、時計を見ると10時過ぎ。家に帰って出来ることといえば、練習すること?‥‥じゃないよな。だって、十分練習したんだから。シミュレーション量を増やすには‥‥最短で申し込めるPTNAステップに申し込む、というアクションを取ることにしました。

というわけで、2月15日のPTNAステップ、再度、ノクターン Op.9-1 変ロ短調で参加します。深夜0時までにネットで申し込み完了。

これで、気持ちよく眠れると思いつつメールチェックをしたら、なんと、本業の仕事で火災が発生中! うーむ、アクシデントは必ず起きるのですよ。


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