もし、ピアノが観客に向いて弾く楽器なら

2014年5月26日

ふと気がついたこと。たいていの楽器って観客に向いて弾きますよね。ピアノみたいに、観客にそっぽを向いて弾く楽器って珍しいのではないかと(あえて言うなら、あと指揮者か)。

もちろん、気持ちの上では、お客さんに対して真摯な姿勢で演奏するのだけど、物理的な姿勢(向き)の影響は大きいと思うのです。

例えば、声楽は観客に向かって歌いますが、歌を通じて思いを語りかけているようなもの。サックス、トランペット、クラリネット等、管楽器系も、観客に対して主張しているイメージ。バイオリンは微妙に斜めですが、基本は「前向き」です。

でも、ピアノって、観客を目に入れずに弾くことって可能ですよね。ポジティブに言えば、観客の視線が直接目に入らないので、プレシャーという点で他の楽器よりも楽な部分がありそう(私は、他の楽器を弾かないので客観性ないです)。ネガティブにいうと、自分の演奏に集中すると観客の存在を忘れてしまい、透明の殻にこもり、自己中心的な側面がある気がします。これは実体験あり。PTNAのステップに参加して、ホールで弾くグランドピアノの響きがあまりに気持ちがいいので、演奏の途中から聴いている人を忘れてしまったことがあります。

本来、ライブの魅力は、観客との共振にあるはずなのですが、クラシックピアノの場合、自己完結的になりがちかな。例えば、サッカーでサポーターは12人目の選手と言いますが、声楽なども、観客の反応が歌唱にも微妙な影響を与えるのではないでしょうか。ジャズなんて、まさにそうですよね。

バイオリンとチェロを演奏する複数の友人が、「ピアノをやっている人ってどうもジコチューな気がする」と言ってました。というか、ある意味、クラシックピアノのライブって「自己完結の陶酔」こそが本質なのでは?

もし、ピアノが観客に向いて演奏をする楽器だったら、ピアノの音楽芸術も違ったベクトルに歩んだかもしれません。でもね、ちゃんと前を向いて、観客と対話しながらピアノを弾く人もいます。エレクトリックピアノですが。ポール・マッカートニー、2002年のBack in the U.S ライブより「The Long And Winding Road」。ポールが演奏中に、観客の反応に感極まって言葉につまるシーンがあります。2005年に、ポールの生演奏でこの曲を聴きました。観客に向かっての弾き語り、とっても素敵でした。

 
この、派手なデザインのエレクトリックピアノほしいな。


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