ステレオを防音室へ。オーディオルーム完成
かれこれ8年前に、ソニーのネットワークオーディオシステム「ネットジューク」というものを購入しました。要はインターネットに接続して、楽曲を買えるステレオで、一言でいうと“でかいiPod”でした。CDもリッピングしてハードディスクに貯めて聴くことができるので、TSUTAYAで借りたCDを“録音”して、高音質で再生させることも可能でした。
当時は、これから音楽ダウンロードの時代ということで、「エニーミュージック」という今のiTunes Storeのようなストアから楽曲を購入できるのがウリだったのですが、それから数年が経過してソニーはアップルに完敗。その後、音楽は据え置きのステレオで、一枚のアルバムをじっくりと高音質のサウンドを楽しむものではなく、音質の良し悪しなんて気にせず、スマートフォンでつまみ食いするスタイルが主流になった次第です。音楽コンテンツのファストフード化って感じでしょうか。
私自身もご多分にもれず、音楽はほとんどiPodで聴くようになり、この「ネットジューク」はリビングルームの飾りのような存在になっていました。今の家に引っ越しする際は、これで休日はリビングでゆったりとブルックナーやマーラーのシンフォニーを楽しめるなんて思っていましたが、実際にはネットジュークよりもXboxが活躍する子どものゲームセンターになってしまい、リビングにおいてもソニーはマイクロソフトに負けてしまった格好になっています。
で、年末、ふと気づきました。リビングで高音質のシンフォニーではなく、防音室で高音質のシンフォニーを聴けばいいじゃないか!と。
防音室を購入したのは、もともと私が帰宅後、深夜にピアノを練習するためだったのですが、今では平日の昼間は息子のバンドのスタジオになり、休日の昼間は、末っ子の友達が家に遊びに来た際、うるさいので閉じ込める「秘密基地」になり、徐々に用途が増えていきました。そして、今回、オヤジのオーディオルームとしての役割が与えられることに。
とりあえず、ホコリをかぶったスピーカーをサッサで拭いて、アップライトピアノの左右端に設置。ステレオ本体を電源につないでみました。
コンパクトな大きさなので、ピアノの上においても違和感ありません。
ただ、インターネットにつないで初めてネットワークオーディオの本領が発揮できるのですが、そのためにWi-Fiを飛ばすのも手間がかかるので、ただのステレオとして割りきって使うことにしました。
さて、実際にCDを入れて聴いてみると、これは、スゴいっ!
まず、ビートルズの『アビー・ロード』。ベースとスネアドラムの響きがまるで違う。アビー・ロード・スタジオみたい(行ったことないけど)。お腹に音が響く感じ。
次に、カラヤン&ベルリンフィルによる『ブルックナー 交響曲第8番』を、いきなり第4楽章から。こちらも金管楽器の響きは上空から飛んでくるし、低音のストリングスは、大型恐竜のザラザラした舌で身体を舐められるような感じ!
そしてピアノソロの演奏は、ピアノの音が小さなヒョウになって頭をコツコツと叩くよう。
結論、CD(というよりプロの録音技術)は、でかいステレオでそれなりの音量でもって再生しないと、能力を発揮できないと思いました。
これで、辛い夜は、一人ぼっちでブラームスのドイツ・レクイエムを大音量で聴いて、とことん落ち込めそうです(苦笑)。