必聴!ヴィキングル・オラフソン『モーツァルト&コンテンポラリーズ』

ステージを超えて活動するピアニスト

今、私が最も気になるピアニストがヴィキングル・オラフソン。特徴的な雰囲気を持つポートレイトのアルバムジャケットを目にした人が多いのでは?

アルバム『ドビュッシー-ラモー』

ヴィキングル・オラフソンは、1984年アイスランド生まれ。2008年にジュリアード音楽院を卒業。クラシックの王道であるコンクール受賞歴とは違ったキャリアを持つピアニスト。トラディショナルなクラシックの演奏も行いつつ、ビョークやオーラヴル・アルナルズらとのコラボレーションなど、ジャンルを超えた活動を行っています。

また、2012年にレイキャヴィク・ミッドサマー音楽祭を自ら創設、芸術監督を務めるほか、2015年からはスウェーデンのヴィンターフェスト音楽祭の芸術監督に就任。オーガナイザーとしても精力的。

アップルミュージックの推奨で彼を知る

私がヴィキングル・オラフソンを知ったのは、アップルミュージックのレコメンドでした。この3年間ほど、アップルはやたらと彼を推してくるのです。アレクサンドル・タロー、アレクサンドル・メルニコフ、ブラッド・メルドー、フレッド・ハーシュ…私が普段聴いているピアニストの履歴から、システマティックに推奨してくるものと思われます。

で、アップルのレコメンドは大当たりでした。

最初に聴いたのは、2017年リリースのフィリップ・グラスのピアノ作品集、2018年のヨハン・ヨハンソン『Englabörn & Variations』。この頃はポストクラシカルのピアニストという認識でした。

ところが、2018年のアルバム『バッハ・カレイドスコープ』でモダンピアノの特長を生かした新鮮なバッハの演奏に興味を持つようになり、『バッハ・リワークス』ではリミックスの妙にハマって、昨年の『ドビュッシー–ラモー』では躍動的なラモーの「一つ目の巨人」と叙情的な「レ・ボレアド」にびっくり。

アレクサンドル・タローのモダンピアノによるフレンチバロックを初めて聴いた時以来、バロックに新鮮な息吹を与える演奏に強く関心を持つようになったのです。

最新アルバム『モーツァルト&コンテンポラリーズ』

そんな彼がコロナ禍の中で来日し、今年10月20日にすみだトリフォニーホール・大ホールで古典派のプログラムによるリサイタルを開くってことで、すかさぐチケットを購入。初めての生ライブ体験を心待ちにしていたところ、なんと本日、来日中止のお知らせが…。残念!

ただ、先週9月3日、リサイタルと同じプログラムのアルバム『モーツァルト&コンテンポラリーズ』がリリースされました。配信で我慢するしかない。下は彼自身によるティザー動画。

モーツァルトのピアノソナタ K.457 ハ短調、K.545 ハ長調といった有名どころのほか、小ジーグ K.574 ト長調、アダージョ K.540 ロ短調など、私のようなモーツァルトフリーク好みの小品も。

そのほか、イタリアの作曲家・ガルッピのソナタやカール・フィリップ・エマニュエル・バッハのロンド等、知られざる古典のクラヴィーア曲に光を当てています。

光の角度によって微妙にフォルムが変わるように、彼の演奏には一曲ごとに新たな発見あり。最初から最後までじっくりと聴き込んでしまいました。

この秋のリサイタルは残念ながら中止になってしまいましたが、次回の来日公演が待ち遠しいです。


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