初めての眼鏡、鏡を見て思わず目を覆った
子供の頃からずっと視力はよかったので、視力が落ちていることにまったく気が付きませんでした。
健康診断の視力検査では、何十年もの間右が1.2、左が1.5くらい。世界は見え切っているつもりでいました。
ところが、一年くらい前から、会議でホワイトボードに書かれた文字や、大型モニターに映るプレゼンテーションの字が見えづらくなっていました。
ただ、自分は「視力がよい」という思い込みが強すぎて、「字が見えにくい → 視力の低下」というロジックにつながらなかったのです。
そんな中、4月の初めから左まぶたがピクピクと震え、3週間経ってもよくならなかったので眼医者さんへ。なんせ、眼医者に出かけたのは、半世紀の人生の中で3度ほど。それほど目の健康には自信があったのです。
診療結果は「眼精疲労」。視力を検査してもらうと、両目ともに0.3くらいに落ちていました。その上、乱視がひどく、医師は「すぐに眼鏡をかけた方がよい」と。視力が悪いのに、無理してモノを見ていたので、目が疲れてしまったようです。
その場で眼鏡の処方箋を買いてもらい、眼鏡屋へ。店員は、強い乱視用のレンズの在庫がないので、できあがりは一週間後になると言います。なんと、それほど、ひどかったんだ。
一週間後、再び眼鏡屋へ。早速できあがった眼鏡をかけて、鏡を見てびっくり。すっかり老け込んだ中年男性の顔が、ヌーっと近づきました。
マジで、これがオレなの!
目尻のシワ、下まぶたのたるみがくっきり。何よりびっくりしたのは、首筋の劣化。それを見て「わぁ」としかめた表情まで、くっきりと写るのです。思わず目を覆いそうに(眼鏡をかけたのに)。
加齢って残酷だ。
そして、眼鏡をかけたまま店を出ると、街の風景が何やら歪んで見えます。数歩歩くだけで、よろけて転びそうに。歩道橋を歩くと、上りの階段はえらく険しく、下りの階段はえらく激しく感じます。5分ほどで車酔いのように気分が悪くなりました。
それから2週間。ホワイトボードの字は明瞭に見えるようになったものの、世界の歪みは相変わらず。
眼鏡なしで生きてこられた半世紀。ホント幸せだったんだな、と、眼鏡をかけつつ、遠い目に。