華麗に加齢! 28年ぶりのレベッカ、武道館ライブへ
昨夜はレベッカ(REBECCA)の武道館ライブへ出かけた。今年、最も楽しみにしていたコンサートだ。
1984年デビュー、1991年解散、レベッカは80年代、最強のロックバンドだった。
今でこそ、女性ボーカルのロックバンドは珍しくないが、80年代当時、1人の女性ボーカルと男性ギター・ベース・ドラムという編成のグループは珍しかった。彼女のやんちゃでキュートなスタイルは鮮烈で、その後、YUKI(JUDY AND MARY)、Charaと続く個性派女性ボーカルの先駆けだった。事実、YUKIはNOKKOにずっと憧れていたという。
また、リーダーでありキーボーディストの土橋安騎夫が生み出す、ポップで分かりやすいメロディーとアレンジは、それまでロックに縁がなかった普通の女子高生、女子大生までも惹きつけた。
とにかくカッコよかったのだ。中学・高校時代はクラシック、大学に入ってからはコンテンポラリージャズと、ちょっと斜に構えた音楽趣味を持っていた私でさえ、学園祭のステージでレベッカのコピーバンドをやったことがある。彼らは、誰もが憧れるメジャーな存在だった。
50代で本格再稼働したレベッカ
ボーカルのNOKKOは、1991年の解散からソロとして活動を始め、シングル「人魚」がヒットしたり、ニューヨークに拠点を移したりしたが、次第に消息が途絶えるようになった。極度のうつに陥り、長期に渡り、歌えなくなったとも聞く。その後、結婚、再婚、出産を通じて、一時期は主婦だったらしい。
2010年頃からNOKKOソロでのポツポツと活動が散見されたが、レベッカとしての本格的な復帰は2015年の横浜アリーナ、さいたまスーパーアリーナの公演。NOKKOは再結成の理由について「封印していたレベッカの楽曲群を改めて聴いて新鮮さを感じた」と語っている。2015年のアリーナ公演に、私は出かけられなかったが、今年3月に某フェスでソロのライブを聞くことができた。その際、ずっと封印していた「フレンズ」についての複雑な心境を吐露していた。下は2015年の横浜アリーナでのライブの模様。
NOKKOは今年54歳、さすがに子供の頃のバレエをベースにした往年のアクティブなパフォーマンスは期待できなかったが、十分に伸びる歌声にはびっくりした。十分にイケるのでは?と。
そんな中、4月に彼らが28年ぶりに全国でコンサートツアーを行うというニュースを知った。しかも、最後のライブ会場となった日本武道館での公演もある。早速、ファンの友人二人で先行チケット販売に応募。二人で中野サンプラザ2公演、武道館2公演、合計8口申し込んで、幸いにも、 私が8月31日の武道館の公演を射止めた。それから数ヶ月、昨夜が本当に待ち遠しかった。
武道館に集った「加齢」なるファンたち
昨日はフレックスタイムを利用して17時半に業務終了。開演15分前に武道館に着くと、周辺はアラフィフ(40代後半~50代前半)のファンばかり。座席につくと、アリーナには白髪、つる天のおやじの頭がチラホラ(笑)。武道館に出かけられた方はご存知だと思うが、通路と廊下が非常に狭い。熱気でむせ返るロビーはほのかに加齢臭が……。まぁ、私もそのうちの一人だ。
開演後1時間ほどは全員総立ちで踊っていたが、1時間半を過ぎるころからパラパラと座り始める人たちが現れた。これも仕方がない。明日は金曜日、みんな仕事がある。
セットリストは、「MOTOR DRIVE」に始まり「76th Star」「LONELY BUTTERFLY」「COTTON TIME」「MOON」と、カセットテープが擦り切れるまで聴いた名曲が次々に。私も10代に戻って、さんざん踊ってしまった。
「28年前に来た人、いますか?」という問いかけに、多くの人が手を上げていた。みんな感無量だっただろう。「いろいろあったんでしょうね」とNOKKO。きっと、観客みんなもここまでの人生を振り返っていたに違いない。
そういう点で、感慨深い曲が「MOON」だ。不良少女になっていまう娘を歌った曲だが、20代のかつてのNOKKOよりも、10代の娘さんを持つ今のNOKKOの方が、説得力を持って聴こえた。
1988年シングル発売当時の「MOON」/2015年のライブでの「MOON」
電子鍵盤楽器の魅力を再発見
もう一人、レベッカといえば、キーボードの土橋安騎夫である。今回はキーボード2台体制。サポートとして真藤敬利氏が入った。
この10年ほどはクラシックピアノに夢中だったので、ピアノはアコースティックばかり聴いていたが、アリーナでの電子鍵盤楽器(エレピ、シンセサイザー)とPAのすごさを再発見した。ツインキーボードの響きは厚みがあり、祝祭的な空間を作り出していた。ミラーボールをフルに活用した80年代風の照明も、大いに気分を盛り上げた。
私、学生時代、自宅でローランドの「JX10」とヤマハの初代「DX7」を押入れに並べて、小さなアンプをつないで遊んでいた。しかし、シンセサイザーはパワーあるPAにつないでこそ、力を発揮できるもの。コンサートグランドピアノと響きのよいホールの関係に近い。久しぶりにシンセサイザーに触ってみたくなった。
50代になった大人のレベッカ、この夏、東京4公演、大阪2公演、名古屋2公演、仙台1公演をこなした体力にはホント恐れ入る。昨夜、あれだけのパフォーマンスをした後、今夜、また同じことをやってのけるとは。
元気をもらったし、元気にならなきゃと思った。死ぬまでファンであり続けるだろう。