小説『羊と鋼の森』の感想をちょこっと
宮下奈都による小説『羊と鋼の森』は、2015年の本屋大賞受賞作。半年ほど前、2016年の受賞作『蜜蜂と遠雷』より先に読んでいた。
感想を簡単に書き記しておく。
主人公は北の地方(北海道と思われる)の山村出身の調律師。高校時代、体育館のピアノを調律に来た調律師に魅せられて、調律師になる、物静かな青年。彼が地方都市の楽器店に勤務し、調律師として成長していく過程を淡々と追っている。
『蜜蜂と遠雷』と違い、“スター”的存在は、主人公が魅せられた調律師のみ。彼は国際的なピアニストに認められた存在ではあるが、地方都市に暮らし、一般家庭のピアノ調律を行う。登場人物が等身大で真摯にピアノに向かって、いい仕事をしようとしている点に好感を持てた。
物語に大きな起伏はなく、深い感動を呼ぶわけではない。が、「日々の営み」「ささやかな暮らし」とはそういうものだと思う。一服の清涼剤のようで、爽やかな読後感だった。
アマゾンのレビューでは高評価と低評価に割れているが、私は『蜜蜂と遠雷』 よりも心にしみる作品だった。
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