フォルスタッフと勝新太郎のキャラがかぶる
今年観たのにブログに書いてなかった音楽・映画・演劇シリーズ。今日は新国立劇場で観たオペラ『フォルスタッフ』について筆を進めていると、あれ、これ観たの2015年12月だった! ま、いいか。
オペラはだいたい毎年一本観ている。海外歌劇場の引越し公演は、チケット代がとてつもなく高いので二の足を踏むけど、新国立劇場のC席、D席なら1万円以内。ちょっとした決心で観ることができる。とはいえ、拘束時間が長いので、どうしても腰は重くなる。結局、今年は一本もオペラを観ずに終わりそうだ。
ベルディ晩年のオペラ『フォルスタッフ』。ナマの『フォルスタッフ』は初めてだった。私はイタリアオペラよりもドイツオペラの方が好き。それでも、ベルディ最後のオペラで数少ない喜劇は、ぜひ一度観ておきたいと思って出かけた。
もう一年も前に鑑賞したので、旬な感想は忘れてしまった。やはり感動は、せめて2週間以内に書き留めておかないと、記憶から失せる。
ただ、一つ鮮烈に覚えていることがある。それは、
フォルスタッフって勝新太郎みたいだ!
って思ったこと。
肥満の老騎士・フォルスタッフは、大酒飲みで強欲、女好き。言ってることもめちゃくちゃなのに、なぜか魅力的で憎めない男。
うん、勝新(かつしん)とかぶる。勝新太郎は、1990年、ハワイの空港で、下着の中にマリファナとコカインを入れていて、現行犯逮捕された。警察には「気付いたら入っていた」とすっとぼけ、逮捕後の記者会見では「今後は同様の事件を起こさないよう、もうパンツをはかないようにする」と、宣言したことが思い出される。結局、彼は懲役2年6か月・執行猶予4年の有罪判決を受けるのだけど、裁判で傍聴者を「観客」と呼び、台本まで作って出廷したそうだ。
「この世はすべて冗談」と言いのけたフォルスタッフ、劇中の人物ながら、実は数々の女性を相手にしているのではなく、観客を向いて生きているキャラクターに思えてならない。まさに、勝新。
フォルスタッフの原作は、シェイクスピアの喜劇『ウィンザーの陽気な女房たち』。シェイクスピアや近松門左衛門の戯曲は普遍的であり、設定を西洋、東洋に入れ替えても成立するところ。
ならばこの「フォルスタッフ」、勝新太郎の主演、妻・アリーチェを中村玉緒で、舞台を日本に移した設定でぜひ観てみたいものだ。きっと素晴らしいお芝居になるはず。
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