日本のクラシック音楽、インバウンド市場は成立しない?
以前、渋谷公会堂でいきものがかりのライブに出かけた際、台湾から多くのファンが多数来場していて、客席で「私たち、台湾から来たのよ」というのを盛んにアピールしていました。アジアの人気アーティストなんだというのを実感しました。実際、ここ数年、JPOPやアイドルのライブを目的にやってくる訪日観光客が大幅に増加しているそうです。
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リオデジャネイロオリンピックが早くも終了した。東京オリンピック開催が決まってから、日本はインバウンド施策に注力している。インバウンドの核である「ライブ・エンターテイメント(以下、ライブ・エンタメ)市場」は、ここ4年間連続で最高記録を更新中だ。
ところが、クラシック音楽に目を移すと、東京には世界でトップクラスの音響を持つホールがひしめき合い、世界で一流の演奏家によるコンサートが毎夜、開かれているにも関わらず、アジアの訪日観光客を目にしたことはあまりありません。
そもそも日本人だけでなく、韓国人にしろ、台湾人にしろ、海外でクラシック音楽を聴くならヨーロッパで、というものかもしれませんが、一度はニューヨークのメトロポリタン歌劇場やカーネギーホールを体験したいように、「新国立劇場でオペラを」という需要は成立しないのでしょうか。
日本のハードウェア(楽器)は世界のマーケットで広く受け入れられています。でも、クラシック音楽のソフトウェア(演奏)ビジネスは、「内需」に支えられているのは寂しいかぎり。このままでは人口減に伴い、市場の先細りは目に見ています。
日本のクラシック音楽の関係者の間で、アウトバウンド(欧米に行く)はあっても、インバウンド(海外からファンを呼び込む)の話題はほとんど聞いたことがありません。日本の音楽大学にアジアからの留学生はどのくらいいるのでしょうか。
やはり意識の奥に、まだまだ明治時代以来の「脱亜入欧」の通奏低音が流れているのでしょう。
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