シャネル銀座での中谷彩花ピアノ演奏会へ

2015年7月25日

ャネル・ピグマリオン・デイズ
以前から、ラグジュアリーブランドのシャネルが行っている「シャネル・ピグマリオン・デイズ」という演奏会シリーズが気になっていました。シャネルがクラシック音楽の若手演奏家をサポートするプログラムです。

以下がその趣旨。

シャネルの創始者であるガブリエル シャネルは「Pygmalion(ピグマリオン)だった」といわれており、無名時代のパブロ ピカソ、イーゴリ ストラヴィンスキー、レイモン ラディゲ、ルキノ ヴィスコンティ、ジャン コクトーらを支援しました。「ピグマリオン」という言葉はギリシャ神話に語源を持ち、才能を信じ、支援して、開花させる人という意味があります。

「CHANEL Pygmalion Days」は、このスピリットにもとづき、シャネル・ネクサス・ホールにて若手のアーティストに演奏する機会を提供するプログラムで、2005年のスタート以来、皆様のご理解とご愛顧のもと若手音楽家達を育てるプロジェクトとして少しずつ確立されてまいりました。

2015年は若く才能あふれる5名の女性達ー2名のピアニスト、2名のヴァイオリニスト、そして1名のソプラノ歌手を支援してまいります。今はまだ発展途中の若い彼女達がコンサートを重ねるごとに成長を遂げていく軌跡を見守り、芸術を極めていく過程を体感いただけましたら幸いです。

2015年、金子勝子門下出身の中谷彩花さんが選ばれ、6月20日(土)に演奏会があったので出かけました。

門下出身者では2008年に根津理恵子さんが選ばれています。そのほか過去の演奏家を見ると、金子三勇士氏(2009年)、實川風氏(2011年)、内匠慧氏(2014年)と、ピアノ通ならうなずけるラインナップ。

初めて足を踏み入れたシャネル銀座

20日は梅雨のシーズンにも関わらずスコーンと空が晴れわたり、銀座の歩行者天国を歩いて気持ちよくシャネル銀座に向かいました。

私、ファッションは人並みに好きですが、シャネル、エルメス、ヴィトンといったラグジュアリーブランドにはご縁がありません。エントランスに黒服っぽいスタッフが立っている雰囲気が、どうも苦手なのです。

歩行者天国に面した正面入り口を入り、黒服っぽいスタッフに音楽を聴きに来た旨を話すと、入り口は脇からとのこと。早速、お店の脇に回って入り口を入ると、ここも違っていると。再び外に出て有楽町駅方面に歩くと、ようやく会場、シャネルネクサスホールへの入り口を発見。ちょっとわかりにくかった。

エレベーターで4階へ。細い通路を抜けるとシャネルらしいシックでセンスのよい空間が広がりました。

開演15分前に入りましたが、すでにほぼ満席。無料招待制ということもありますが、歩留まりはかなりいいみたい(招待イベントとって、無料ゆえに当日来場しない客も実は多いのです)。人気のイベントのようです。

座席は自由席。私はステージに向かって左端。前後では、真ん中よりも少し後ろの座席に案内されました。“ピアノ通”は好きな位置ですね。

キャラクターが立ってきた彩花さんの演奏

さて、中谷彩花さんの演奏。まずは彼女のプロフィールを簡単にご紹介。

1993年生まれ。東京芸術大学音楽学部付属音楽高等学校卒業後、ヒロシマ平和創造基金・中村音楽奨学生として19歳でモスクワへ渡る。現在、ロシア政府給費生としてロシアグネーシン音楽アカデミーで研鑽を積んでいる。

幼少時代より、第24回PTNAピアノコンペティションをはじめ、第6回大阪国際音楽コンクール、第15回日本クラシック音楽コンクールなどにおいて、上位入賞、最高位を得る。また、2006年にはこれらが評され東京都豊島区教育委員会より表彰を受ける。

14年第18回浜松国際ピアノアカデミーコンクール第3位。ベラルーシ国立フィルハーモニーにて、Evgeny Bushkov指揮、ベラルーシ・ナショナルチェンバーオーケストラと共演。またロシア国際テレビ局RTViの番組“ロシア音楽教育システム”に出演。15年ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン音楽祭に出演。

これまでにピアノを伴谷真知子、金子勝子、御木本澄子、播本枝未子、青柳晋、エレーナ アシュケナージ、タチアナ ゼリクマン、室内楽をオリガ コンドラーチエヴァに師事。

彼女の演奏は、中学生の時から発表会で聴いているし、紀尾井ホールで2度も一緒にステージに立たせてもらっています。なので、私は成長の過程を知る親戚のおじさん状態。いわゆる「おまいつおじさん」です。

もしや私は「おまいつおじさん」なのか?(2015/2/10)

さてさて、ハレのステージはどんなものでしょう。

プログラムは下記。

バッハ(ラフマニノフ編曲)/ヴァイオリンのためのパルティータ 第3番より 第3楽章 ホ長調「ガボット」
バッハ/パルティータ 第3番 イ短調 BWV827
(休憩)
ショパン/24の前奏曲 作品28-15 変ニ長調「雨だれ」
ショパン/華麗なる変奏曲 作品12 変ロ長調
チャイコフスキー/ノクターン 作品19-4 嬰ハ短調
チャイコフスキー/ナタ・ワルツ 作品51-4 イ長調
チャイコフスキー/ロシア風スケルツォ 作品1-1 変ロ長調

時間は1時間強。リサイタルとミニライブの中間くらいの規模でしょうか。こういうミドルレンジの演奏会って珍しいな。

前半のバッハは硬さが硬さが見られたけど、後半のショパンから伸び伸びとした雰囲気に。ショパンの「華麗なる変奏曲」とチャイコフスキーの「ロシア風スケルツォ」は、弾きこんでいるなぁという印象。

彼女はモスクワを拠点にしているからだろうか、シマノフスキ、プロコフィエフ、チャイコフスキーと、スラブ系の作曲家のレパートリーを増やしているのかな。数年前に聴いたショパンの華麗なる変奏曲や、プロコフィエフに比べて、ずいぶんと個性が表れてきた気がします。あと10年、30代になった頃には、どんな演奏になっているのか、とても楽しみ。

アンコールは、チャイコフスキーの音楽にインスピレーションを受けた自作を演奏。ロマンチックな楽曲で、私も弾いてみたいと思った。

ピグマリオンデイズ、末長く続けてほしい

シャネル・ピグマリオン・デイズさて、この演奏会シリーズ「シャネルピグマリオンデイズ」全般について感想です。

まずもって、年間を通じて行う無料の芸術支援のコンサート、本当に素晴らしいです。年に一度や二度ならCSRとして可能だけれど、一年に14日、28回ものコンサートを行うには、企業として腹をくくる必要があります。ぜひ末長く続けてほしいです。

ただ、シャネルネクサスホールはホールというよりもイベント会場。モノトーンのシックな内装はグランドピアノと相性ばっちりなのですが、響きはやはり厳しいものがありました。

また、この演奏会はプログラムの合間に演奏家自身によるMCが入ります。おしゃべりが得意な演奏家ならよいのですが、中谷さんの場合、演奏は安心して聴いていたけれど、MCは緊張していたかな。少しハラハラしました。MCは専門の司会者か、または主催者によるMCで良い気がしました。

上は演奏会終了後、彩花さんとツーショット。

しかし、無料で演奏会を楽しませてもらって、何も買わずに帰るのは申し訳ない気分デス。


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