感想/芝居『ア・フュー・グッドメン』
トム・クルーズ主演の映画で知られる
天王洲銀河劇場で、スズカツ(鈴木勝秀)演出の演劇『ア・フュー・グッドメン』を観た。彼の演出する芝居を観るのは二度目。前回は、2011年秋、青山円形劇場で観た『CLOUD-クラウド-』。今回と同じく、田口トモロヲ氏の存在感が光る印象的な作品だった。
その時の感想を読み返そうとブログ内を検索していたが、記事が見つからない。どうして書き残していないのだろう。どんなによいお芝居でも記憶は劣化する。書き残しておかねば。この作品については以下の記事が詳しい。
青山円形劇場プロデュース「CLOUD-クラウド-」/ワンダーランド
さて、『ア・フュー・グッドメン』。原作はアーロン・ソーキンの戯曲で、『スタンド・バイ・ミー』『恋人たちの予感』で知られる監督、ロブ・ライナーにより映画化され、トム・クルーズのほか、デミ・ムーア、ジャック・ニコルソンらの演技が高い評価を受けた。
下は映画の予告編。トム・クルーズ、かっこいいなぁ。
以下、あらすじ(公式サイトより)。
キューバを望む米軍海兵隊基地で、ひとりの海兵隊員が就寝中に襲われて死んだ。犯人は同部隊のドーソン兵長とダウニー一等兵だった。検察官ロス大尉は、2 人を殺人罪で起訴する。事件の背景に疑問を感じた内部調査部の熱血女性弁護士ギャロウェイ少佐は、被告の弁護を申し出るが、ハーバード出身で法廷経験のないキャフィ中尉が任命される。キャフィは偉大な弁護士だった父の影を意識するあまり、担当した事件はすべて検察側との事前取引で処理してきた男だった。キャフィの助手としてギャロウェイも補佐に加わり、調査を開始する。
やがて浮上した“コードR(レッド)”という隠語は、劣等兵への“しごき”を暗黙了承する集団リンチのことだった。被告たちは、上官ケンドリック中尉からコード R の命令を受けていた。そして事件の黒幕には、最高指揮官ジェセップ大佐の影が・・・命令に忠実に従っただけで、殺意は無かったのだという言葉に心を動かされたキャフィは、被告の無罪を申し立て、軍法会議で上級士官と対決することになる。捜査の妨害や関係者の自殺を乗り越え、キャフィとジェセップ大佐の法廷での戦いの日がやってくる。判決は。そしてこの事件がもたらしたものとは・・・
映画と対照的なシンプルな演出
ゴージャスな映画作品とどうしても比較してしまいがちだが、スズカツはセットを映画法廷と基地司令官室、2つに絞ることで、演劇らしさを対比させていた。
裁判シーンにおいては、判事のジャッジガベル(小槌)の響きが劇場にスコーンと響き渡り、リアルな緊張感を醸し出していた。また、ブラームスの交響曲第1番や第3番の音楽もマッチしていた。
トム・クルーズが演じたキャフィ中尉役は淵上泰史が演じていた。が、敵役、グアンタナモ米海軍基地司令官・ジェセップ大佐を演じた田口トモロヲの存在感が大きすぎて、ちょっと不釣り合いだった印象。
そういえば以前に観た『CLOUD-クラウド-』でも、彼は独特の存在感があった。鈴木勝秀と田口トモロヲ、よいコンビネーションなのかもしれない。
それから、法務官・ギャロウェイ少佐は、宝塚の元トップスター、瀬名じゅんが演じていた(映画はデミ・ムーア)。私、宝塚の男役が卒業後、女性を演じたお芝居って結構好きなのだ。3年ほど前に観た真矢みき主演のお芝居も萌えたっけ。
今さらですが、芝居『彼女の言うことには。』(2012/6/17)
ギャップ萌えなのだろうか。ちょっと評価にフィルターが入っているかもしれない(苦笑)。
私はリアルな裁判を見たことはない。ただ、人間の喜怒哀楽を一つの場に開示するという点で、法廷は演劇のテーマに向いているものだな、と改めて思った。