感想/横山幸雄リサイタル@所沢ミューズ
今年2月に出かけたコンサートの備忘録。途中まで感想を書いたままでした。こういう途中まで書いた記事が結構あるんです。
演奏を始める前にシェフのメニュー紹介
2015年2月28日(土)15時開演。場所は私のホームグランド、所沢ミューズ。「WEEKEND PIANO SERIES 休日に燦めくピアノの響き」の2014年シリーズの3回目。ピアニストは、ショパン全曲演奏等で知られる鉄人・横山幸雄氏。
ショパン/バラード第1番ト短調 op23
ショパン/12の練習曲 op.10
(休憩)
ラヴェル/水の戯れ
ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ
ラヴェル/夜のガスパール
(アンコール)
フォーレ/ノクターン第4番 変ホ長調 Op.36
ラヴェル/『鏡』より 道化師の朝の歌
ドビュッシー/前奏曲集第2巻より 風変わりなラヴィーヌ将軍
演奏を始める前にマイクを持ってステージ登場、まずひと通り今日のプログラムについて解説された。「ラヴェルは今年生誕140年、以前に全曲を演奏しました。実はフランスで勉強した時の先生が、ラヴェルが直々に教えを受けており、私はラヴェルの孫弟子にあたります」云々。シェフが厨房からテーブルにやってきて、本日のメニューを紹介するようでした。
特級精製塩のようなショパンエチュード
演奏は、“鉄人”にふさわしく、超絶技巧で難曲を安々と弾きこなすのにはホント恐れ入りました。さすが! ある有名料理店のシェフがこんなことを言ってたっけ。「プロの料理人は、何度料理しても同じ質と量を高い精度で毎日作れないとダメ。そこが料理研究家と料理人の違いだ」と。きっと横山氏は、一日に朝昼晩、三回リサイタルをやっても、まったく同じハイクオリティーの演奏ができるはず。
テクニック、ストーリー共に完全無欠。ただ、あまりに純度が高くてドキドキしなかった。魅せられなかった。なぜだろう?
例えば、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の弦楽器セクションの純度が高いクリアな響き。バイオリンはピッチが整いすぎて、10人で弾いてもまるで1人の演奏のように聴こえるほどです。
ただ、純度が高ければ高いほどよいかというと、ここが人間の感覚の微妙なところ。以前、何かの本(ブログだったかも)で、「マウリツィオ・ポリーニのショパンエチュードの名盤(1972年録音)は、純度99.8%の特級精製塩だ」なんてことを読んだことがあります。それに近い印象。純度99.8%の特級精製塩が、粗塩より必ずしもおいしいとは限りません。用途と好みによるとしかいえませんね。
ライブパフォーマンスにおいては、ある種の「不完全さ」や「不確実性」が音楽に魅力を与えているのでしょうか。うーむ、とにかくスゴいと思った。しかし、心が震えることはなかったな、というのが率直な感想です。
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