感想/松下奈緒コンサート@オーチャードホール
基本的にピアニストはライブを聴かないと、いい悪いを判断しないようにしています。
で、一度、ナマを聴いてみたかったのが、松下奈緒ちゃん。彼女の映画も観たし、ドラマも見たし、紅白歌合戦の司会も見たけれど、画面を通して見る彼女は今ひとつインパクト不足。ちょうど勤務先に近い渋谷・オーチャードホールで、6月20日に彼女のコンサートがあるのをひと月ほど前に発見しました。いい機会だと思い、チケットをゲット。
会場につくと聴衆は男性70%、女性30%くらいでしょうか。多くは一人様の中年男性(私もその一人ですが)。国公立大理系出身といった雰囲気の地味で心優しそうな人ばかり。ホワイエのソファに一人腰を下ろし、熱心にパンフレットを読んでいました。ブルックナーの交響曲の演奏会の雰囲気に似てなくもない。
さて、ライブが始まりました。ピアノの響きはPAを通したもので、生音ではありません。ただ、ピアノは相当な腕前であることがわかります。
姿勢がとてもよく、完全に上腕が脱力していて、フワッと左右に移動していく。子供の頃から、かなり弾きこんでいないと、こういう奏法はできないはず。私が言うのだから、間違いないです。それだけに生のピアノの音を聴きたいと思った。
数曲、ピアノを弾いて、私、大きな誤解をしていたことに気が付きました。
奈緒ちゃん、歌うんだ!
ピアニストとしてのイメージが強いので、私、インストゥルメンタルが中心のピアノリサイタルのようなものだと勝手に思い込んでいた。歌を歌うのはもちろん知っていましたが、余興のようなものという認識でした。お恥ずかしいかぎり。
で、この歌がいいのです。何やら若い頃の失った恋を思い出してしまった。
帰宅してから、セットリストの歌詞サイトを確認してみると、作曲が川村結花、古内東子、川口大輔。なるほど、私が大好きなアーティストばかり。こりゃ、響くわ。
後半は、奈緒ちゃん、ブルーのノースリーブのワンピースで登場。ステージの演出も夕焼け空や青空を思わせるもの。ググっときた。
たぶんね。彼女は中年男性のこんなピュアでイタい夢に応えてくれるのですよ。
「小学校の頃、クラスで一番人気だったきれいな女の子がいて、パステルカラーのワンピースが似合っていた。彼女はピアノがうまくて、家の前を通り過ぎるといつもピアノの音が聴こえてくる。だけど、彼女はあるとき遠い町に引っ越してしまって、今では下の名前しか覚えていないけど、30年経ってもときどき思い出してしまう」
なので、心優しい中年男性はみんな奈緒ちゃんにハマるのでしょう。
帰りの電車の中で、思わずアルバム『MUSIC BOX』をiTunes Storeでダウンロードしてしまった。
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