「ダンテを読んで」を語るなら『神曲』読もうよ
ジャンルやプロアマを問わなければ、月に3本はコンサートに出かけるでしょうか。コンサートの印象って、一番はライブパフォーマンスですが、その場にいる聴衆の影響も大きいです。サッカーでサポーターは12番目の選手、それに近いのかもしれません。
「やたらと熱い解説」はちょっとストレス
アーティストと聴衆が醸し出す「場」の空気に合うか合わないかって、私は重要です。先日、アリス=紗良・オットのリサイタルに初めて出かけました。こんな感想を書いています。
感想/アリス=紗良・オット ピアノリサイタル(2015/5/18)
私、最後の音が終わらないうちにガーッと拍手をされるのってダメなんです。あれ、すごくテンションが下がるのです。あと、数多くのピアニストの演奏会を聴いていますが、演奏終了後にヒューヒューと手笛が鳴るのを聴いたのは初めてでした。まぁ、クラシック音楽ファンもいろんな聴衆がいますし、同じお金を払っても楽しみ方はそれぞれですから。ただ、私の居場所じゃないなと思いました。
音楽って極めてパーソナルな趣味だから、頭ではみんなが熱狂する理由が分かっていても、個人的に冷めてしまうのはどうしようもないです。みんなが普通で、自分が合わないだけ(まぁ、彼女のコンサートは、ジャズピアノのライブに近いスタンスで楽しんだ方がいいのかも、というのが一週間過ぎての感想です)。
ところで、私、ほとんどのクラシックピアノのコンサートは一人で出かけます。さみしいおじさんです。
一人で出かけて辛いシーンは、近くにカップルが座って、休憩時間、演奏の合間に男性が同行の女性に対し、やたらと詳しく(でも浅薄な)解説をするとき。
「わかった。ホワイエでやってくれ」と心の中で愚痴ってしまう。
80%はリア充に対するやっかみです。が、20%はその解説に突っ込みたいけど突っ込めない、行き場のないストレスですな。こういうのもコンサートの印象に微妙な陰を落とします。
それはゲーテの『ファウスト』
数ヶ月前も某コンサートで、リストの「ダンテを読んで」について、隣の若女子に熱く語っている年配の男性がいました(うらやましい!)。
そういう解説って、聞きたくないのに耳に入ってくるんだな。で、その解説、なんかおかしい。何かがおかしい。だって『ファウスト』について語っているだもの。
それ、ゲーテでしょ!
と、突っ込みたくなったけど、心の中だけにしておいた。
女性とクラシックのコンサートやオペラに行くと、おじさんはうれしさのあまり舞い上がってしまって、こんな失態を犯してしまいがち。お互い注意しましょうね。
で、少なくともリストの「ダンテを読んで」について熱く詳しく語りたいなら(軽く触れるのではなく)、ダンテの『神曲』を読んでからにした方がいいですよ。読んでないなら、黙って音楽だけに耳を傾けた方がいいです。
なお、私はまだ『神曲』読んでいません。