感想/芝居『禁断の裸体』、もう寺島しのぶが!
寺島しのぶの下着姿で「禁断の裸体」ですから、はっきり言って“怖いもの”見たさです。8年も前になりますが、映画『愛の流刑地』で彼女のセックスシーンで絶句しました。言葉になりませんでした。で、今回は内野聖陽ですから、トヨエツよりも濃度高しです。
と、まぁ、冗談ですよ。
このお芝居、舞台映えする俳優ばかり。全員、数年前のお芝居がしっかり脳裏に焼き付いています。
内野聖陽 → 感想/芝居『TRUE WEST~本物の西部』(2013/10/19)
寺島しのぶ → 芝居『トップ・ガールズ』を観た(2011/4/10)
池内博之 → 感想/松尾スズキ演出、芝居『欲望という名の電車』(2011/4/24)
特に内野聖陽と池内博之が濃密でした。アクが強いのなんの。この二人が兄弟を演じるとは! 破壊的な期待を抱いて、シアターコクーンに出かけました。
近代ブラジル演劇の先駆者、ネルソン・ロドリゲス。彼の戯曲を観るのは初めて。中米のテネシー・ウィリアムズと称されるだけあり、『欲望という名の電車』に描かれた「ヒトの業」を、中米の輝く太陽の光で白日の下にさらしたような作品でした。
ストーリーはこのようなもの。
妻を亡くした主人公・エルクラーノ(内野聖陽)は、喪に服す静かな毎日を送っていた。ある日、遊び人の弟・パトリーシオ(池内博之)を介して、娼婦・ジェニーと出会う。最初は理性が勝っていたエルクラーノだけど、欲望を抑えきれずやがてジェニーにのめり込んでいく。そんな父親を見た息子のセルジーニョ(野村周平)は、死んだ母親への裏切りと捉え、父親を遠ざけるようになる。むき出しの欲望の果てにたどり着いた地は?
下はゲネプロの様子。
さて、感想です。
とにかく、寺島しのぶの壮絶なセックスシーンに息を飲みました。ステージでここまで表現していいものなのか、と。テレビ番組や映画館では体験できないアブないシーンの数々。
そして、どうしようもない結末。終演後、どっと疲れました。
お芝居の「毒」に慣れた人には楽しめる作品でした。お芝居に慣れていない人には、ちょっと毒気が強すぎるかな。